いつか書く手紙

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2007年 02月 19日

匂い






(この文章は
実家で飼っていた犬のコロが死んで間もない
2月7日水曜日に書きかけました。
続きを書き終えたのは、今日です。)





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写真は
わたしのふるさとの駅。


今朝方
「昨日から妙に鼻が利くので
電車の中がくさくてたまらない」
と書きました。

オカルトっぽい言い方になるので気持ち悪がられないか不安ですが
コロが死んでしばらくの間は
コロの
嗅ぐ力を
受け継いでいたりするのかなと
昨日の晩思いました。

きっとしばらくすると
消えてしまうのだろうけれど
今はまだ
コロは
わたし達の周りに
フワフワしてて
その間
少しずつコロの何かを
受け継いでいたりしないかな
と思う。

動物の力は強いから
そういうこともあるかもしれない
と思う。


動物の感受性は強い。

遠くからやって来る
嵐や
雷鳴や
地震などの天変地異も

人間の
機嫌の変化や
理不尽な扱いも

すぐに嗅ぎ分けて

逃げたり近づいたりする。


ラジオに
受信できる周波数帯が定まっているように
人にも
個人差はあれ
感じ取られる域が定まっている。

域から外れた音は
聞き取られないけれど
聞き取られない音と
存在していない音とは
違う。

とらえることができないだけで
確かに
ほら
今その辺りを飛んでいる

音の波
光の粒

たくさんある。

ひとのものさしが
例えばセンチメートル刻みだとしたら
動物のものさしは
ミリメートル刻みとか
マイクロメートル刻みとか

きっと
わたし達より
もっと
ずっと
細かく細かく感じている。


わたし達は
鳴き声ではなく
鳴き声がずっと発達して細分化した
声・言葉
を使って
目にみえぬものを伝え合い、
その結果
複雑な仕事を完成させたりもするけれど

しょっちゅう

伝えきれなかったり
疑ったり
騙したり
そんなつもりじゃないのに
後々振り返ってみたら嘘をついてしまっていたり
する。

そういうのがない代わりに
コロは
もっと瞬間的に
物を感じとり

耳や鼻をひくつかせたり
畏れで体を震わせたり
気配を殺して身構えたり
そうやって生きていたのだなと

飼い慣らされてはいたものの
コロはわたしにとって
だれより身近だった動物で
わたしは今
妙に利く鼻によって

コロにとっての世界は
どんな景色で
どんな時間で
どんな広さをもっていたのだろうかなと
考えている。

感傷的かもしれないけれど
感傷的になることで
普段無視して暮らしている細部に
思いがゆく
ということがある。


だからあなたがとても悲しいときには
大切なものを失ったときには

日常生活をたゆまず継続していくことも
生きていくために必要だし
それとともに

その悲しみにひたること、
その悲しみについて語らうこともまた
生きていくために必要なはずです。





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わたしにはわからないけれど
動物たちは知っているのだろうなあ、

大気中の細かな水の粒
大地の震え

高みを飛ぶ鳥の羽ばたき
草むらの猫の足音

交尾の鹿が残した匂い
熟れきった柿の香り

暗闇からこちらを覗く瞳
遥か下、地上を走る鼠

鋭い爪で剥がれた木の皮
雪の上、青白くみえる足跡

そんなものたちを。
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by writetoyou | 2007-02-19 00:28 | 動物


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